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たけやだより vol.46 その3

〈終わりに)
 たけやは家族で営業しております。
蕎麦ランチに各種お弁当業務、そして、夜の営業。
手が足りない時も少なくありません。
そんな時の助っ人が店主の姉妹。
 本当に有り難いことです。
知人たちからは「仲の良いご姉妹ね。」と言われますし、
この頃では、私の実の姉たちのように思われている節があります。
「よく似ていらっしゃる」って。
 私は男兄弟だけでしたし、その二人の兄たちはもう亡くなっております。
ですからこんなに近くにいて助けてくれる姉たちの存在は偉大です。
「よくそんなにこき使って」と友達からもたしなめられるんですけど、遠慮がありません。
もっといえば、普通の姉妹以上かもしれませんね。
もう、血を越えた絆があります。
私達は三人で出かけることもあります。
大抵は、忙しい私をねぎらってくれる意味で、食事に誘ってくれるんです
この日もそうでした。
ただこの時ばかりは、ハプニングがあったんです。
海沿いの道を運転している私の目前で、おじいさんが手を振って車を止めるように指示していました。
「何か困っとらすとかな?」と、車の中で話しながらゆっくり近づくと、
「タイヤのパンクしたけん、交換ばしたかけど、ネジの堅かけん動かんとです。手伝って下さい」と言われ、
私達は口々に「すみません、私達は出来ません」と答えるしかありませんでした。
情けないことにタイヤ交換はおろか、
「ネジ」とか「ナット」なんていう言葉とも無縁に生きており、役立たずな三人でした。
すると、「娘に電話して下さい」と紙を渡され、
「それならば出来ます」とお電話しました。
「○○整備工場に電話してここまで来てくれるように言うてくれ」とおっしゃっているのですが、
ここが何処かも伝えられず、まして連絡の術も持たれていない老夫婦です。
携帯を持っている私達はお付き合いを秘かに覚悟しました。
ところがです。
片側一車線の「渋滞の原因」になっていることも
分からなかった私達のところに、パトカーがやって来ました。
事情を説明すると、
「では、あなたは用事がないんですね」と「渋滞の元」を排除すべく、動くように指示されました。
そこへ、おばあさんが「千円札」を折り曲げて私に握らせて下さったんです。
あわてて車から降りてお返しに行くと、
「電話代」だと言って、受け取られません。仕方なくお礼を言ってその場を離れました。
姉達と「お心は頂いて、このお金は熊本の義援金にさせてもらおう」と決めました。
 翌日、やはり気になり「娘さん」に電話して確認しましたら、おまわりさんがタイヤを交換してくれて、
そのあと整備工場まで行かれたそうでした。良かったです。
 車が動き出す時に、おじいさんが
「名前は?名前は?」と何度も尋ねて下さいましたが、このご夫婦は本当に誠実な方なんだなと思いました。
 温かい気持ちを頂いた出来事でした。



  
B!
  

たけやだより vol.46  その3

〈もらわれて〉
 遠路よりお越し下さった三人娘?(今では娘とは言い難き妙齢のご婦人方ですね)
初めいてお会いしたのに、どこか懐かしさを感じるのは、
同じ時代を生きたもの同士の見えない絆のせいかしらとも思うんですね。
カウンターに座られると「どくだみの花」が描かれた絵を手に取り、しげしげと見つめ、やがて、
「これ、素敵だわ~」を繰り返されました。
 その絵は、日頃、抽象画の大作を描く友人が、珍しく、小さな花々を描いたものを私の求めに応じて持ってきてくれたんです。
いろんなお客様の目に留まり、「きれいねぇ」と和ませてくれ、癒しも運んでくれていた、小さな額に納められた作品でした。
「それ、お持ちになりませんか?差し上げますよ」と切り出した私に、
「エーっ!、でも、いいんですか?」
「大丈夫ですよ、私の友人で、絵描きさんですから気に入ってもらった方の手元にあるほうが、彼女もきっと喜びますから」と言いましたら、
他の方も、「素敵ねぇ、素敵ねぇ」とおっしゃいます。
ついつい後の二枚の絵もお見せすると、「わあ~すばらしい!」ということになり、三枚の絵は福岡と東京に貰われて行きました。
翌日、作者の
エミさんに報告しましたら
「そうですか、嬉しいですね」
とのコメント。
 でも、たけやのカウンターが寂しくなったから、また描いてね、エミさん!
個展が終わってからでいいから!



  
B!
  

たけやだより vol.46 その2

〈ひとり飲み会〉
 決して自慢話をしようと思っているわけではないんです。
この感動をお伝えしたい!それだけなんですよ。
今日はオフで、夜の予約もなく、たまたま空いた時間でした。
「ちょっとお酒でも飲んでみよう」と思いまして、
何種類か盃についで、カウンターに並べてあれこれ飲んでいました。
(うちには売るほど沢山のお酒がありますんで・笑)
中でもこの日の「竹葉の たれ口」には感動しました。なんて美味しいんだろう!
まてまて、こんなお酒は常温に戻るまで置いてみよう。
 私はどちらかというと、淡麗より、濃い目のお酒が好きですね。
無ろ過のお酒や、古酒もよく頂きます。
つまみを食べないとお酒が飲めなかった私ですが、「たれ口」には、つまみがいらないんです。
お酒だけがグイグイ入ってきて。
血は争えないですね。父親は大酒飲みでしたし、やはり私も呑める口だったって事ですね~。
常温に戻った「竹葉」!
なんていいお酒なんだろう。
「たけやって、こんなお酒があるんだ。
いい店だなぁ」って、素直に思っちゃいました。
ご注意申し上げますが、このお酒は二〇度くらいあります。強いんですよ。
 最後に「順番が違うけどなぁ」と思いながら、「蒼田の夏酒」を飲んでみましたが、
逆にフィニッシュ感があって、気持ちよく本日のひとり飲み会を終了することが出来ました。
でも本当に私にとっては珍しい飲み会なんですよ。
もうすぐ寝てしまいます。
仕事は明日に先延ばし。
休みなさい。



  
B!
  

たけやだより vol.46 その1

〈嵐〉
花に嵐は付き物だといわれていますが、今年の春の嵐は凄まじいものがありましたね。
これから桜祭りをしようと楽しみに計画を立てられていた地域でも、
桜の花びらは散ってしまい、中止ということが少なくないようでした。
まるで台風のような雨と風に、無残にも散って道路に張り付き、踏まれた花びらたち。
中には、小枝もいくつも混じっていて、嵐のものすごさを語っているよいうでした。
気を取り直して、桜の花びらを掃き寄せている私に、道行く人達が声をかけて下さいます。
「桜は咲くのは綺麗だけど、後がねぇ~、ご苦労さん」とご高齢の男性。
「待ち長かったですねぇ~。枝ぶりもとても良くて、
あんまり美しかったから、たけやさんの看板と一緒に撮らせてもらったんですよ。」
「桜は後の始末が大変ですね。まあ、ボチボチと、ね。」等々。
 これから赤い軸が落ちてしまうと、青々とした若葉が、
ゆっさゆっさと初夏の風に吹かれ気持ちよさそうに揺れて、
道行く人達を爽やかな気分にしてくれるんでしょうね。
 四十年以上も前に「イセ子お母さん」が植えて下さった大切な桜の木です。
ご近所の皆様にはご迷惑をおかけいたしますが、来年の桜の花に出会うまで、またお見守り宜しくお願い申し上げます。
追伸・ご近所さんから、額に入った素敵な桜の写真を頂きました。
ちょっと季節はずれですけれど店に飾らせて頂いています。
「もう少しの間、いいかなぁ~」なんて思いながら。



  
B!
  

あけましておめでとうございます

新年明けましておめでとうございます。
旧年中はお引き立て頂きまして誠にありがとう存じました。
本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

尚、5日より営業させて頂きます。



  
B!
  

お盆の営業

暑中お見舞い申し上げます

暑い暑い夏の到来です。
皆様にはいかがお過ごしでしょうか?
関東に住む友人は、「こんなに暑いの生まれて初めて!」
と言っていました。
どうかご自愛下さいますように。

さて、お盆は通常の営業を致します。
皆様のお越しをお待ち申し上げております。

また、オードブル、お弁当等は早めにご予約いただきます様に
お願い申し上げます。



  
B!
  

たけやだより vol.43 その4

(終わりに)
 細い道を走っていた時です。
向こうから来た車をよけようとして、左側を塀で削ってしまいました。
ガリガリガリリ
この音を聞いた瞬間、あのなんともいえない
嫌な気分が襲ってきました。
でも、とたんに解りましたね。
「ああ、呼びかけだ」って。

 この日も、昼前に契約のお弁当を配達に
出ました。
店主は西へ、そして私は東の方面へ。
十一時半からはランチの時間です。
「でも今なら間に合うかもしれない。午後からは出かけなくちゃあならないし、
これを済ませておけば後が楽になる。今のうちに買い物にも行っとこう。」

 いつもこの調子だったなぁ。
今でなくてもよい買い物だったし、何よりも、早く店に戻ってお客様をお迎えする準備を整えなくてはならないのに・・・。
間に合わない事だって充分に考えられる時間だったのに・・・。
「今、何が大切なのか」
「一番大切にしなくてはいけないことは何か。」
このことが解らなくなってしまうんです、
効率効率。そして、忙しい忙しいの魔法の罠に捕まって・・・。
 そして更に、「息子がちゃんとしてくれているだろう」という予定調和的な、何の根拠も無い
「大丈夫」というこの依存の感覚。
 これは無自覚な責任放棄ですよね。
「誰かが何とかしてくれるだろう」という気持ちは根強く私に張り付いていて、なかなか剥ぎ取ることが出来ません。
それ程、いつも恵まれてきたんですよね。
クルマぶつけるまで解らないんだから情けない。
しかしせっかく「とどまりなさい!」と警告を受けたんですから、新しい私になるように、挑戦します。
大切なことを見極め「今」に応えることができるように。
慣れに陥らないように。
もちろん安全運転にも気をつけます。



  
B!
  

たけやだより vol.43 その3

(営業のごあんない)
たけやの営業スタイルがどんどん変わり、
お客さまの中には「混乱しているよ」とおっしゃる方もおいでになります。
まずは、夜の営業が完全予約制になりました。
これは予約しないと店に入れないのではありません。ご予約を頂いた日だけ営業をさせて頂くという事なんです。
つまりご予約の無い日は仕入れをしないということになりますので、きちんと料理をお出しできないわけです。
 そしてランチです。お蕎麦のランチは
毎週水曜日、日曜日、祝日がお休みです。
蕎麦ランチ以外の会席料理等は、昼もご予約
のみとなりますので、あらかじめご用命下さいますようにお願い致します。

(たけやの串焼き復活!)
 今でも、「たけやの串焼き食べたいな」と懐かしんで下さるお客様も少なくありません。
実は私も大好きでした。
 現在は完全予約制にしておりますので、
串焼きを入れたコース料理も準備させて頂くことにしました。
炭焼きになりますので、少々お待たせするかもしれませんが、店主が
「また焼台の前に立つ事になるなぁ」と申しておりましたが、まんざらでもない様子でした。
 でも・・・私の仕込が増えますよねぇ・・・。

(たけやのコース料理)

 ご予約を頂く際にメニューがはっきりするほうが便利ですよね。串焼きも増えましたので
コース料理も細分化?してみました。
 料理の内容につきましては、ご予約の際に
お確かめいただきますように。
また、コース料理の中には、デザートが付いていないものもあります。これにつきましては、
別に三〇〇円(税別)でお求め頂けますので、ご予約の際に、お申し付け下さいませ。
*お料理はすべて税抜きの料金となります。
      
 二五00円コース/
         先付け・串焼き・揚げ物・
         酒菜・止椀  
 三〇〇〇円コース/
         先付け・造里二種・焼物             
         揚げ物・酒菜・止椀
 三五〇〇円コース/
         先付け・造里二種・焼物             
         揚げ物・酒菜・煮物・止椀
 四〇〇〇円コース/
         先付け・造里三種・焼物             
         揚げ物・箸休め・お凌ぎ
         煮物・止椀・デザート
 その他、様々ご予算に合わせて承ります。



  
B!
  

たけやだより vol.43 その2

(またまた パグゾー君) 
 遅い時間に夜食を取っていると、パグゾー君すっと擦り寄ってきて座ります。どこに居てもよく聞こえるんですね。
心を鬼にして?「何もあげないよ」という姿勢を貫いていると、ペタンと腹ばいになって、
テーブルの下にあった自分の食器をカラコロいわせながら遊んでいましたが、すぐにイビキが聞こえてきました。
そうですよね。さっきまでグーグーと大きなイビキをかいて寝ていたんですから、眠いはずですよ。
ふと見ると、皿をくわえたままイビキをかいているんですよ。笑ってしまいました。
 小さい子供がご飯を食べながらコックリコックリと寝てしまうのに似ていますね。
 パグゾー君は鼻の上に皮が乗っかっているので、その皮と鼻の間にミゾがあるんです。
そのミゾのところに炎症が起きて、病院に連れて行きますと
「パグ犬の宿命です!」
おまけに目が飛び出しているので傷も付きやすく、それも合わせて「パグ犬の宿命です!」
 ほんとうに手のかかる、お金のかかる、時間のかかる、愛すべきパグゾー君です。
でも、家族になってくれてみんな喜んでいます。
 おっと、ひとりだけ一番小さい孫娘が
「可愛いけど怖いからどうしても近づけないよ」と嘆いていますが・・・。 



  
B!
  

たけやだより vol.43

(コンサート)
プロの演奏家とご一緒させて頂くチャンスは以前にもありましたが、一緒になって曲作りをするという体験は初めてでした。
私達は素人の琴弾きですから、プロの演奏家の前座を務めるだけだという意識でしたし・・・。
それでも「入場料が発生するので、あんまり下手な演奏じゃあ申し訳ないから、合奏練習だけはしようね」というくらいの考えだったんです。
ところが一回目のリハーサルの時、尺八の大家は私たちを前に、とっても難解な「水たまり理論」なるものを展開されたんですよ。
判ったような判らないような。たとえ頭で判ったつもりになったとして、
それを自分の演奏として表現することは、とてもかなわないなぁ、というのが皆さんの実感だったと思いますね。
 実はその時思ったんです。
「この先生、本気で私たちにそんなことをさせるつもりなんやろうか。弾くだけで精一杯。
とりあえず楽譜通りに間違えないように。
せめて人に迷惑をかけないくらいは頑張ろう! くらいにしか考えていない私たちを、そこまで引っ張ってゆくつもりなんやろか?」

(吉田松陰)
 私に頂いた曲もあったんです。
「吉田松陰」という曲で、弾き語りの曲なんです。昔々、私に、この曲を自分の主催するコンサートで弾いて欲しいと言った友人が居ました。
 本当に困ってしまって、どうやって弾いたらいいのか。その頃私はまだ三十代だったと思います。吉田松陰のことを調べて、
人物や歴史的な背景はなんとなく判ったものの、もうひとつ何かしらぴんと来なかったんですね。それで、
店主に「松蔭神社に行ってみたい」と頼みますと、快く、夜中に車を走らせてくれたんです。
早朝の松蔭神社は、なんとも清々しい空気に包まれ、どこまでも明るく、空は澄み切っていました。
その時、「松蔭は幸せだったんだ!」という想いが突然こみ上げて来ました。どこまでも
透明で、赤心に溢れ、まっすぐな志、幼子のような無垢な心を一度に感じていました。
それまで考えていた「小さな狭い部屋に押し込められた可哀想な人」ではなかったんです。
 あれから長い年月が流れましたが、いつも、この曲を弾く時にはあの松蔭神社の竹林の間から見える青い空が浮かびます。
 かの尺八の大家は、私に何かを教えてくれるのではなく、私の中からいろんなものを引き出そうとされているようでした。
「楽譜は参考までにして、あとは自分の想いを大切にしてください」との言葉に、心はほっとうなづいていました。
 曲の最初の出だしのところは尺八のソロなんですが、その音色を耳にしたとたんに、私は
自分がかつて見た景色が浮かんできて、その音色に導かれるままに、弾き唄っていました。
 尺八の調べは音だけでなく、絵まで送って下さったんです。さすがにプロ中のプロですね。

(ひとつになって)
 この体験をしてから、「雪月花に寄せて」という合奏曲を一緒に弾く仲間と、曲に対するイメージや自分の想いを存分に語り合う時間を重ねました。
そうする中で、お互いを深く知るきっかけにもなりました。
 ソロの部分を弾く人達は、ふつう、孤独です。
他のメンバーはその部分はホッとしている時間でしょうか。
でも、全員で話し合うと、曲全体を自分のものとして考えられて、「その一部分を誰かがソロとしての働きを担うんだ」ということが判ってくるんですね。
ですから、ソロを弾く人をひとりにさせないんです。弾かなくても一緒に弾いているんです。
そうやって当日を迎えたのですが、演奏自体は褒められたものではないのですが、私にとってはとっても素敵な時間でした。
みんなでひとつになっている、すごい!っていう感じです。
ですから、たった一度の舞台ですが、この時にしかできない演奏だったと思います。
だからまた味をしめて一緒にやりたくて、新しい仲間を迎えながら、時々集まって合奏を楽しんでいるわけです。とても絆を感じています。



  
B!